初秋の晩酌

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秋刀魚が高い。2尾で500円近い値札がついている。

「これは高いなぁ。・・・とはいえ、味と量からすれば今までが安すぎたともいえるんだよなぁ。」
そんなことを思いながら売り場を物色する。

ふと、刺身コーナーにさくで売られている鰹を見つける。

「そうか。戻り鰹か。」

自宅に戻ると買い物袋をばらし始めた。料理の開始だ。

「っと、その前に。」
お風呂をセットして、買ってきた缶ビールに濡れたハンドタオルを巻いて冷凍庫に入れる。
冷房のスイッチも入れておく。
おっと、忘れていた。ビールグラスを冷蔵庫に。
「これでよし。」

さくは刺し身用だが煮付けにしたい。

まずは鍋に酒、味醂、醤油を入れて煮立てる。
火を落としてチューブの生姜を溶かし入れる。
鰹を1cmの幅に切って鍋に入れる。
鰹が汁に適度に浸るようにここで水を入れて調整する。
落し蓋をして弱火で煮る。
火が通ったらそのまま冷ます。

煮物は冷めるときに味が染みる。
その間に、お風呂だ。

お風呂で温まった体をよく拭いて、部屋着に着替えたら鍋の前へ。
しっかり味のしみた鰹を皿に盛り付け、ビールとグラスを取り出す。

「こういうものは実況しながらいただかないとな。スマホ見ながらなんてもったいない。」
つぶやくともなしにつぶやいて、食卓にごちそうを運ぶ。

「カシュッ」
缶ビールが軽快な音をたてる。
ビールグラスに注ぎよい感じの泡を立てる。

箸をとって、まずは繊維にそって身をほぐす。
しっかり染みているようだ。

かけらをとって顔の正面で一旦止めて薫りを愉しむ。
チューブとはいえ、生姜の薫りがしっかりしている。
醤油と味醂を混ぜたものというのはどうしてこうも芳しいのだろうか。

その芳しいかけらを口に運ぶ。

鰹の薫りのあとに柔らかい醤油と味醂の薫りがつつみ、後味を生姜が締めてくれる。

「これはたまらない!」

手元にあるビールグラスをおしいただくようにして、その液体を流しこむ。

「!!!!」

戻り鰹の煮付け。晩酌のお供に、お弁当のおかずに・・・いかがでしょうか。

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