冬の朝。
空が澄み切った日には、通勤で電車に乗るとスカイツリーと白化粧した富士山を一緒に見ることができる。
得した気分にはなるものの、取り立ててそれが素晴らしいことだとは思ったことはなかった。
先日、NHKの番組で巨龍中国と題して大気汚染の話をやっていた。その中でPM2.5であるとか、スモッグにまみれた北京であるとか、工場が半年操業停止したことで戻ってきた青空であるとかを見るにつけ、青空を仰ぎ見ることができるというのは、とても贅沢なことではないかと思うようになった。
そういえば、東京オリンピックの開会式の日は、東京は抜けるような青空だったというが、それは前日までの雨がスモッグをすっかり洗い流したからであって、当時は東京の空も煤けていたという。
そんなことを考えて、もう一度空を見上げると、異臭もしないし、咳き込まないし、目も痒くならないし、思い切り深呼吸をすることに抵抗もないし、ああ、素晴らしいことだなぁと感じるのである。